J (3.秘密の恋愛)
7. 葬式 (7)
バスは揺れて私の心も揺れる。
覚悟を決めるといっても具体的にどう決めればいいのか。 私は私を崩さずに私を維持する、口で言うのは容易いが、 その場を想定して心の鍛錬をするにはちと時間が無さ過ぎる。
この場は。
見ない、聞かない、考えないがいいのじゃないか。 そしてたとえ見てしまっても、 見て見ない振りするのがいいのじゃないか。
焼香をしたらすぐにそそくさと帰ってしまえばいい。
聞かなければそれと知れない。 考えなければすぐに忘れる。
それがいいじゃないか。
・・
レイの実家に近いバス停で降りた私。 路地の角にぽつんと立って右左。 と、遠くに見覚えのあるタバコ屋が見つかった。 (ああ、あそこは、、、)(参照こちら)
時計を見ると10時半。 11時からの告別式には十分間に合う時間でした。
「ゆっくりと行こう。早くついてもやることないしな。」
そうわざわざ口に出して言ったのは、 早く着いてレイの彼氏を認めたくないと思ってのこと。
たぶん。 そういうことだったかと思います。
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