J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2004年05月19日(水)    見ない、聞かない、考えないがいいのじゃないか。

J (3.秘密の恋愛)

7. 葬式 (7)


バスは揺れて私の心も揺れる。

覚悟を決めるといっても具体的にどう決めればいいのか。
私は私を崩さずに私を維持する、口で言うのは容易いが、
その場を想定して心の鍛錬をするにはちと時間が無さ過ぎる。

この場は。

見ない、聞かない、考えないがいいのじゃないか。
そしてたとえ見てしまっても、
見て見ない振りするのがいいのじゃないか。

焼香をしたらすぐにそそくさと帰ってしまえばいい。

聞かなければそれと知れない。
考えなければすぐに忘れる。

それがいいじゃないか。

・・

レイの実家に近いバス停で降りた私。
路地の角にぽつんと立って右左。
と、遠くに見覚えのあるタバコ屋が見つかった。
(ああ、あそこは、、、)(参照こちら

時計を見ると10時半。
11時からの告別式には十分間に合う時間でした。


「ゆっくりと行こう。早くついてもやることないしな。」

そうわざわざ口に出して言ったのは、
早く着いてレイの彼氏を認めたくないと思ってのこと。

たぶん。
そういうことだったかと思います。


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