J (3.秘密の恋愛)
7. 葬式 (6)
俺ならば、必ず行く。 好きな彼女の実の母の葬式だ。 行かぬわけがない。
きっとその男も来るに違いない。 どういう立場で来るにしても来るに決まっている。
ご家族と顔見知りで身内のように来るか。 まったく知られずにひっそりと来るか。 いずれにせよ、レイの彼氏はきっと来る。
レイの彼氏という男。 俺はまったくその人物を知らない。(参照こちら) はたしてどんな男なのだ。 名前も年恰好も何もかも知らない私にとって、 その男がこの男と見極めがつくだろうか、葬式の場で。
ああ、だが。 それは俺には無関係のこと。 その男がどんな男だろうが俺にはまったく関係がないのだ。
俺は俺の立場で葬式に参列する。 会社を代表して。 レイの上司として。 俺はそれだけの役割しか持っていないのだ。
しかし。 その時私は私を維持できるだろうか。 レイの恋人を認めた時、 レイに対する秘密の恋愛の情をひた隠し、 私は崩れずに私を維持できるだろうか。
、、、覚悟を決めておかなければならぬな。
いよいよの時のために。
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