J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2004年05月13日(木)    今頃そんなことを考えても遅いんだって、、、。

J (3.秘密の恋愛)

7. 葬式 (4)


だが。
レイに対してできることっていったい何だろう。

特別な関係ではない私とレイなのだ。
上司と部下の枠を超えて、特別に何かをしてやるようなことはできない。
ましてレイが望んでもいないことに、気を使うのはおせっかいというものだ。

そう。
唯一、私が彼女に何かをしてやれるのは、彼女が私を求めた時のみ。
レイが私に救いを求める時のみに、私はできるだけのことをしてやれる。

いつでも受身であらねばならない、ということだな。


ああ、そういうことならば!

あの時オレはレイを抱き締めてやるべきだったのだ!(参照こちら

彼女は特別にオレを求めたのじゃないかもしれない。
しかし誰かに受けとめて貰いたかったに違いない、あの時。
オレは何故に体面を気にしてしまったのだろう。

レイをしても分かっていたことなのに。
それが見られてはならない抱擁とレイも心得ていたのに。


、、、なんとオレは気の回りが遅いことよ。

今頃そんなことを考えても遅いんだって、、、。


・・

「ふぅ。しかし暑いな。」

夏の太陽が黒いスーツを着込んだ私に容赦なく照りつけて。

レイの実家の最寄の駅でバスを待ちながら。


夏空を見上げ汗を拭う私でした。


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