J (3.秘密の恋愛)
7. 葬式 (4)
だが。 レイに対してできることっていったい何だろう。
特別な関係ではない私とレイなのだ。 上司と部下の枠を超えて、特別に何かをしてやるようなことはできない。 ましてレイが望んでもいないことに、気を使うのはおせっかいというものだ。
そう。 唯一、私が彼女に何かをしてやれるのは、彼女が私を求めた時のみ。 レイが私に救いを求める時のみに、私はできるだけのことをしてやれる。
いつでも受身であらねばならない、ということだな。
ああ、そういうことならば!
あの時オレはレイを抱き締めてやるべきだったのだ!(参照こちら)
彼女は特別にオレを求めたのじゃないかもしれない。 しかし誰かに受けとめて貰いたかったに違いない、あの時。 オレは何故に体面を気にしてしまったのだろう。
レイをしても分かっていたことなのに。 それが見られてはならない抱擁とレイも心得ていたのに。
、、、なんとオレは気の回りが遅いことよ。
今頃そんなことを考えても遅いんだって、、、。
・・
「ふぅ。しかし暑いな。」
夏の太陽が黒いスーツを着込んだ私に容赦なく照りつけて。
レイの実家の最寄の駅でバスを待ちながら。
夏空を見上げ汗を拭う私でした。
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