J (3.秘密の恋愛)
7. 葬式 (3)
俺が死ぬ時。 そんなことをこれまで考えたこともなかったが。 結婚をし子どもができ、自分だけの自分じゃなくなった今、 そうはやすやすと死んでたまるかという思いが強い。
そう。友美さん。 俺を心から愛してくれて、 俺の中で幸せに生きている妻。
そして、ユキ。 未だ小さき世界に生きて、 俺と友美さんの加護のもとすくすくと成長する子ども。
俺の命はこの二人に捧げられるべきものなのだ。
この二人をおいて、そうそうに死んでなるものか。
そうなのだ。
だから。 俺にとってはもうこれから始まる運命など有り得ない。 つまり確定なのだ。 レイの言う通りなんだ。
どんなに俺がレイに対して恋愛の情を持とうとも、 もはやこれまで、それ以上には有り得ないのだ。
なにもかもこれでいい。 すべてなるようになってゆく。
ああ、だからこそ!
俺はできることをしようじゃないか。 友美さんに対しても、ユキに対しても。 そして。 レイに対しても。
できることを精一杯して生きようじゃないか。
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