J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2004年05月12日(水)    俺が死ぬ時。

J (3.秘密の恋愛)

7. 葬式 (3)


俺が死ぬ時。
そんなことをこれまで考えたこともなかったが。
結婚をし子どもができ、自分だけの自分じゃなくなった今、
そうはやすやすと死んでたまるかという思いが強い。

そう。友美さん。
俺を心から愛してくれて、
俺の中で幸せに生きている妻。

そして、ユキ。
未だ小さき世界に生きて、
俺と友美さんの加護のもとすくすくと成長する子ども。

俺の命はこの二人に捧げられるべきものなのだ。

この二人をおいて、そうそうに死んでなるものか。


そうなのだ。

だから。
俺にとってはもうこれから始まる運命など有り得ない。
つまり確定なのだ。
レイの言う通りなんだ。

どんなに俺がレイに対して恋愛の情を持とうとも、
もはやこれまで、それ以上には有り得ないのだ。

なにもかもこれでいい。
すべてなるようになってゆく。


ああ、だからこそ!

俺はできることをしようじゃないか。
友美さんに対しても、ユキに対しても。
そして。
レイに対しても。

できることを精一杯して生きようじゃないか。


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