J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2004年05月11日(火)    突然に母親を亡くして。

J (3.秘密の恋愛)

7. 葬式 (2)


当日、告別式は午前11時からでしたので、
私は自宅から直接レイの実家へ行くことにしました。
その方が近いこともありましたし、また、着替え等も面倒でしたので。
しかし近いとは言っても電車で行くのは初めてのこと、
時間が読めないこともあって朝7時半には家を出たものでした。

何故車ではなく電車で行くことにしたのかと言えば、
レイの生まれ育った土地を肌で感じたかったのだと思います。
葬式に行くのに不謹慎ではありますが、たぶん。
それ以外にはそうした理由を思い出せないのです。

通勤列車を逆方向に乗り、悠々腰かけて車窓を見ながら、
私はレイの実家へと向かったのです。

・・

タバコを燻らし思うこと。

レイの哀しみの深さは如何ほどだろう。
突然に母親を亡くして。

まだ若いのに。
早過ぎるその時。

そう言えばオレの父親も早過ぎたな。
孫の顔も見ないで。

レイの母親などは娘の結婚も見ないのだ。
見たかっただろうに、娘の晴れ姿。

俺はどうか。
娘のユキの晴れ姿、見ずに死ねるか。
いや、見ずにというよりも、見届けてやりたい。
どんなことがあろうとも。

だが。
死はやがて訪れる。
誰にでも。

なれば生きている間に、
できるだけのことをしておきたいものだ。


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