J (3.秘密の恋愛)
7. 葬式 (1)
レイの母の葬儀は亡くなった二日後に通夜、そのあくる日が告別式でした。 社員の身内の葬儀にはその部署の上役が弔いに行く慣わしでした。(参照こちら) 当然この状況では部長クラスが参列するのですが、 たまたま担当部長は出張に重なっていたため、 直属の上司である私が会社を代表して参列することになりました。
実は私が願い出てそうしてもらったのです。 私にはレイの母の葬儀に出席したい理由がありましたので。
レイは私の父の葬儀に来てくれていた。(参照こちら) 彼女なりに考えて個人の立場で葬儀に来ていたのです。 私はこの義理を重く受け止めていました。
会社の慣わしは会社の慣わし。 個人としてはどうか。
普段一番身近に接している者の身内の不幸にあって、 お悔やみのひとつも言わないでいいのか。
レイが来てくれていた以上、尚のこと、私とて同じにしておきたい。 他ならぬレイなのだから。
私は会社にたんたんと事情を説明し、 私の資格で葬儀に行く旨了解を得たところ、 会社は、ならば工藤君に代表で行って貰おう、ということになったのでした。
こうして私は再びレイの実家に行くことになりました。
|