J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2004年04月17日(土)    ふたりだけ。

6. 個人的な話 (6)


後でね、と言った手前、聞きたくなっても聞けない。
レイはもう仕事に戻って行ってしまった。
私の頭の中だけがくるくる回る。

なんなんだ、いったい。

あー、もう。
これじゃ仕事にならないじゃないか。

ほんのちょっとレイに心の扉を叩かれただけで、
こうも動揺する俺って、いったいなんだ。

なんだ、というより、これではだめじゃんか。

冷静に、努めて冷静になるんだ。
そして仕事のことを考えるんだ。
目の前にあるたくさんの業務をこなすんだ。

そう、電話をかけなくては。
博多の○×百貨店、と。


「工藤課長、お電話です、2番、」
「ん、どこから、」
「博多の○×からです、」

あいや、向こうからかかってきちゃったぜ。
ちっ、。

「はい、工藤です、あー、お世話になっております、・・・」




と忙しさにまた埋まって。
時間が経過し。

そして夜。

社員も三々五々に帰宅して、ひと気の少なくなったオフィス。
私とレイが残る。

ふたりだけ。


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