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6. 個人的な話 (6)
後でね、と言った手前、聞きたくなっても聞けない。 レイはもう仕事に戻って行ってしまった。 私の頭の中だけがくるくる回る。
なんなんだ、いったい。
あー、もう。 これじゃ仕事にならないじゃないか。
ほんのちょっとレイに心の扉を叩かれただけで、 こうも動揺する俺って、いったいなんだ。
なんだ、というより、これではだめじゃんか。
冷静に、努めて冷静になるんだ。 そして仕事のことを考えるんだ。 目の前にあるたくさんの業務をこなすんだ。
そう、電話をかけなくては。 博多の○×百貨店、と。
「工藤課長、お電話です、2番、」 「ん、どこから、」 「博多の○×からです、」
あいや、向こうからかかってきちゃったぜ。 ちっ、。
「はい、工藤です、あー、お世話になっております、・・・」
‥
と忙しさにまた埋まって。 時間が経過し。
そして夜。
社員も三々五々に帰宅して、ひと気の少なくなったオフィス。 私とレイが残る。
ふたりだけ。
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