J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2004年04月13日(火)    3年間で何もかも状況は変わったのに。

J (3.秘密の恋愛)

6. 個人的な話 (3)


その忙しさは私とレイに空白の時を与えました。
正直に言えば私は忙しさに逃げていたのですが。

レイはと言えば私とのあの話などまるでなかったかのように、
いつも通りに私と接し会話し仕事をこなしていました。


想い出。
そう、レイにとってはすべて想い出の話だった。
だから、ああいうふうにいつも通り変わらぬレイなのだ。

何度もあの出張の晩の話を反芻して出した私の結論はそれでした。

取り残されたのは私のレイへの想いだけでした。
3年振りに火が噴くように心から出てきたレイへの恋愛の情。
過去の遺物のようなこの感情を沈めるために、
私は空白の時を求め、忙しさに身を投じていたのです。


3年間で何もかも状況は変わったのに。
私のレイへの想いだけが取り残されたように此処にある。

誰に話すこともできないこの想い。
自ら断ち切るより私には仕方がありませんでした。



時の過ぎ行くままに任せて。


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この物語はフィクションです。

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