J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2004年04月02日(金)    自分本位の誤った解釈をしてはならない。

J (3.秘密の恋愛)

5. 後悔 (8)


さて。
これからどうする。俺。

昨夜はそこで鏑木さんが加わって、
中途半端なまま話が途切れてしまっている。

レイも俺も、今日は何事もなかったように仕事をしたんだ。

レイは普段通りのレイ。
俺もいつもと変わらぬ俺。

昨夜の話は夢の中の出来事のように、
お互いに一切触れることも無く一日が終わったんだ。

何かしら声を掛けるべきか。
掛けるべきだろう。

だが何と言う。

詫びるか。
すまなかったと詫びるか。

いや、それは昨夜したじゃないか。(参照こちら
再びそんなことを言っても詮無いことよ。

話を蒸し返したところで何も始まらないのだ。


・・

しかし。
しかし待てよ。

すべては過去のことなんだ。

そうなんだよ。
レイの話はすべて過去形だったじゃないか。

「私、工藤さんが、好きでした。」…“でした。”なんだ。(参照こちら

今を言っているわけじゃない。
それを動揺しているのは俺だけじゃないのか。
レイはなんとも思っていないのかもしれぬ。

3年封印していたレイに対する恋愛の情。
昨夜解けたと思っているのは俺だけで、
ことレイは単に思い出話をしただけのことなんだ。


ふう。

自分本位の誤った解釈をしてはならない。

気を静めるんだ、工藤純一よ。


レイには恋人がいるんだ。


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