J (3.秘密の恋愛)
5. 後悔 (8)
さて。 これからどうする。俺。
昨夜はそこで鏑木さんが加わって、 中途半端なまま話が途切れてしまっている。
レイも俺も、今日は何事もなかったように仕事をしたんだ。
レイは普段通りのレイ。 俺もいつもと変わらぬ俺。
昨夜の話は夢の中の出来事のように、 お互いに一切触れることも無く一日が終わったんだ。
何かしら声を掛けるべきか。 掛けるべきだろう。
だが何と言う。
詫びるか。 すまなかったと詫びるか。
いや、それは昨夜したじゃないか。(参照こちら) 再びそんなことを言っても詮無いことよ。
話を蒸し返したところで何も始まらないのだ。
・・
しかし。 しかし待てよ。
すべては過去のことなんだ。
そうなんだよ。 レイの話はすべて過去形だったじゃないか。
「私、工藤さんが、好きでした。」…“でした。”なんだ。(参照こちら)
今を言っているわけじゃない。 それを動揺しているのは俺だけじゃないのか。 レイはなんとも思っていないのかもしれぬ。
3年封印していたレイに対する恋愛の情。 昨夜解けたと思っているのは俺だけで、 ことレイは単に思い出話をしただけのことなんだ。
ふう。
自分本位の誤った解釈をしてはならない。
気を静めるんだ、工藤純一よ。
レイには恋人がいるんだ。
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