J (3.秘密の恋愛)
5. 後悔 (6)
「私、工藤さんが、好きでした。」
そう、俺はこの言葉を聞いて内心喜んでいた。 なのに、心とは裏腹に俺はそれを否定するに躍起になっていた。
そんなこと言っちゃ駄目だよ。 今更そんなこと聞いても何も始まらないんだよ。 言わないで欲しかったよ。
そして。 レイは私のことをずるいと言ったんだ。。。(参照こちら)
確かに。 俺はずるい。ずるかった。 レイの言う通りだった。
すべて自分中心で考えてレイの気持ちなど考えていなかった。
婚約者がいるのは俺自身の問題じゃないか。 レイの想いまで閉じさせる理由にはならないんだ。
それを、俺は。
それを俺は、レイに押し付けたんだ。 レイの言葉を否定しようとしたんだ。
何という身勝手な!
しかし。 しかし、レイはそれをも認めた上で話したんだ。
・・
憧れ、か。 憧れが憧れのままでなくなったのは誰のせいなんだ!
工藤純一。
俺のせいじゃないのか!
婚約者がいるのにも拘らず、 新入社員のレイに好意を持った不埒な男。
俺がすべての元凶じゃないか!
|