J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2004年03月20日(土)    ここでレイと2時間以上も話していたんだ

J (3.秘密の恋愛)

4. 無常 (20)


「おー、いたいた、こんなとこにいた、
 探したぜぇ、クドちゃんよぉ、何やってんだよぉ。」

振り返ると鏑木さんが。
「あ、いや、」とびっくりして私。

「部屋に戻ってちょっと飲みなおそうって思ってな、
 電話掛けても出やしない、さては、と思ったら案の定、てか。」
「ずいぶん早く戻ってきたんですね。」
「おうさ、明日もある、そこらへんはキチンとしてるんだ、俺だってな。
 けど、もう1時だけどな、。」

1時、!

と言うことはここでレイと2時間以上も話していたんだ、、、

「もう1時ですか、そりゃいかん、明日に、いや、今日の仕事に差し障る。」
「おいおい、俺にもちょっと飲ませてくれ、な、レイちゃん。」
と鏑木さんはレイの顔を覗き込む。

レイはにこっと微笑んで、うん、と頷きました。
いつものレイに戻っていました。

「で、おふたりさんよ、何話してたんだ、
 遠目には深刻そうな顔して話していたように見えたが。」
「あ、いや、ちょっと。」
「また仕事の話だろ、やめろって、飲んでいる時は。な、レイちゃん。」

レイは、うんうんと話を合わす。
私もそれでいい、そういうことにしておこうと腹に決めて。

「なんかね、うん、さすが鏑木さん、読みが深いですね、、、。
 さて何飲みます。僕たちはジントニック飲んでますけど。」
「おお、それでいい、それを貰おう。」
「一杯だけですよ。」
「おう、一杯だけ、な。」

・・

こうして私とレイの話は中断しました。

どこか中途半端な、尻切れとんぼのような思いを残して。

ですが、私は鏑木さんが来た途端、
急に酔いが廻ってしまい、
後の事はほとんど覚えていないのです。

悲しいかな、いつもの酔っ払い。


大阪の夜はかく更けたのでした。


(4. 無常、の項 終わり)


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