J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2004年01月18日(日)    ああ、何と言う無常、、、。

J (3.秘密の恋愛)

4. 無常 (11)


あの時、俺は不思議に思ったんだ。

もの思いに耽っているのかと思うと、
ケロっと明るく楽しそうに振る舞ったレイ。

女心は分からない、と気にも留めなかったレイの心中には、
それほどの深い動揺があったのだ。


道理で。
その後花火が打ちあがった時もレイは私を見ていたわけだ。(参照こちら

私が友美さんと肩を並べて花火を見上げている姿、
レイにとっては切なく胸を締め付ける光景だったことだろうよ。


そう、あの時俺はレイと一瞬目があって、俺は自分から目をそらした。

そして、、、そして俺は、肩を並べているところを、
レイに見られたくないかのように、友美さんから身をずらし少し離れたのだった!


ああ、何と言う無常、、、。


・・

「工藤さん、」
「ん。」
「その夜、のこと、覚えていらっしゃらないでしょ?」
「、、、その夜、、、、さっきも聞いたよね、そのこと。」(参照こちら
「ええ、」

夏季研修の花火の夜。
私の記憶にない夜。
友美さんを抱き新しい命が確かに生まれた夜。

「う、うん、ごめん、本当はあまり記憶が、ないんだ、」
「やっぱり、、、」
「でも、言ってくれれば思い出すと思う、いったい、俺は何をした、何を言った、、」

レイは私の肩に頭を凭れ掛けました。
お願い、思い出して、と言うように。

私は一瞬レイの肩に手を掛けようとしましたが、、、、それは、出来ませんでした。
レイは少し私に体を預けてからまた体を離し、哀しげな目をして私を見ました。
私はすまなそうな顔をして、目で、申し訳ない、と言うのです。


しばらくして、やっと、レイが口を開きました。

「私は妬け酒を飲むように酔っていた、の。そこへ工藤さんが来たの、覚えてません?」

、、、。


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