J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2004年01月09日(金)    急に打ち解けた拘りのない気持ちが広がって。

J (3.秘密の恋愛)

4. 無常 (3)


俺があの夜の出来事を覚えていると言ったあとに、
レイが立て続けに言った言葉。

想い出の夜。

・・ずっとそのことを気にしていた。
・・自分はあの時うぶだった。(参照こちら

でも。
・・あれでよかった。
・・いい想い出になった。
・・俺の気持ちを確かめられた。

そして。
・・俺に憧れて会社に入社した、、、。(参照こちら


だから、なんだ?
なんだというんだ。

俺がうろたえることはないじゃないか。

しっかりしろ、。
俺、。


・・

「工藤さん?」
「ん?」

レイが呼びかける。

「ん?、って、、、。工藤さん、急に黙り込んじゃって。」
「ああ、すまない、自分の世界に入り込んでしまったみたいだ。
 酔ってしまったようだよ。ハハ、、、」

「私も、ちょっと酔っちゃった、、、」ニコリとして、レイ。

私もニヤリとして。
急に打ち解けた拘りのない気持ちが広がって。

私は思うままにペラペラと話し始めました。

「ま、こういうことだな。
 つまり、レイちゃん、君は僕に憧れて会社に入社した。
 それは僕を通して仕事に魅力を感じたからなんだよ。」

「で、君はあの当時はまだ入社したてで、うぶ、っていうか、
 それこそ、当時、18歳だったのだから、幼くて当然さ。
 そんなことよりも僕がしたあの行為は許されるものじゃない。
 そのことについてはやはり僕は君に詫びておくよ。」

「君が何を想っていい想い出だとか言うのかは分からないが、、、。
 いずれにせよ、過ぎた想い出だ。
 いい想い出として残るならば、僕はそれでうれしく思うよ。」

「けどなぁ、僕の気持ちを確かめられた、で、うれしい、ってのはなぁ、
 なんとも解せないけど、、、。
 ま、いいや、ね、いい想い出、なんだもの、ね。」

、、、私はレイの返事を待たずに自分一人で話し、自分一人で話を〆ました。


レイは私の話の終わるのを待って、やっと、話す。

「、、、工藤さん、あの夜のことは、覚えてないんですか?」

「え?、あの夜って?」

「夏季研修の、花火の夜、、、。」


レイは私の目を奥を見据えて低い声で聞きました。


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