J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2004年01月08日(木)    憧れる、と恋心を抱く、は根本的に意味が違う。

J (3.秘密の恋愛)

4. 無常 (2)


いや、違う。
それは俺の早とちりだ。

憧れる、と恋心を抱く、は根本的に意味が違う。

レイは俺に憧れて会社に入社したと言ったが、
決して俺に恋心を抱いて入社したとは言ってはいない。

ああ、また俺は自分に都合よく物事を捉えようとしているな。

何故だ。

今まだ俺はレイに未練があるのか。
結婚をして子どもまでいて、固く封印して風化している筈の恋愛の情。
よもや心の奥底で細々と残っているとでもいうのか。


それは、否、だ。

俺はレイに何も感じていない。
今隣に座るレイに些かなりとも恋情を感じ得ない。

間違いなく、、、。


間違いない、よな?

間違いないと思い込むんだ、俺よ。

そう思い込め!

そう思い込め〜、、、俺よ。

揺れてはいけない、、、。


ああ!、だけど、こんなに頭が揺れている!

くるくるくるくる、揺れている!

くっ!



、、、そう、そうだよ。

レイは俺に憧れて会社に入社したさ。
けど、恋心を抱いていたわけじゃない。

そして、そのことがどうだって言うんだ。
今さら何がどうってことあるまいに。

ふん、何をうろたえているんだ、クドウジュンイチ。


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