J (3.秘密の恋愛)
3. 想い出の夜 (11)
あの夜。
初めてふたりで飲んだ夜。(参照こちら)
私が酔ってレイを抱き締めた夜。(参照こちら)
そして、、、記憶がないと卑怯な嘘をついたあの夜。(参照こちら)
ここであの夜のことをレイが口にするとは!
なんと答える。 うやむやに答えて誤魔化すか。
でも、ついさっきまでそのことを俺は気にしていたのだ。 レイが気にしてはいまいかと、気にしていたのだ。
タクシーに乗り込む時、レイがさほど気にしている様子がなかったので、 密かにほっと胸を撫で下ろしたばかりなのだ。(参照こちら)
レイはやっぱり、気にしていたのだ。 あの日あの夜あの時の出来事を。
そう、、、忘れるわけがないじゃないか!
上司が部下を酔った勢いで抱き締める。 キスをしようとする。 涙を溜めて拒否して押しのけて逃げる。
こんなこと、忘れるわけがないじゃないか!
ああ、、、でも。
でも私はその当時、 キオクニナイと言って誤魔化したんだ。
私は卑怯な嘘をついたのだ。
覚えていますか?
そう聞かれてなんと答える。
どうする。
どう答える、クドウジュンイチ、よぉ。
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