J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年12月27日(土)    覚えてますか、あの夜のこと、

J (3.秘密の恋愛)

3. 想い出の夜 (10)


「あ、なんだい?、」と私。
「あ、なんですか?」とレイ。
また言葉が重なって。

「いいよ、レイちゃん、先に話して、」
「いえ、いいです、工藤さんの話、聞きたいから、」
「あいやぁ、たいしたことじゃないんだ、俺の話って、レイちゃん、話して、」
「あん、私もたいした話じゃないんです、本当に、」

「そうか、、、」
と私はまた口を噤みました。
レイもまた黙ってしまいました。

どうする、どうする。
このままじゃ、このまま、だ。


私は考えた挙句、投げやりな考えに行き着きました。

このままで、いっか。

恋人同士なんじゃないんだし。
仕事で来ているんだし。


すると。

レイが窓の外を見ながらぽつりと話す。

「工藤さん、こうしてふたりでタクシーに乗るの、あの晩以来ですね、、、
 覚えてますか、あの夜のこと、」

あの夜!

あの夜。

あの夜、、、。


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