J (3.秘密の恋愛)
3. 想い出の夜 (8)
「私のことならよかったのに、ひとりで帰れるのに、」 「そういうわけにはいかんよ、」(ここは出張先の大阪だ、)
「ふーん、じゃぁ、私をホテルに送ってとんぼ返りするとか?」 「そんなこと、考えてもいないよ、明日もあるんだからな、」
レイは私の顔を今度はまじまじと見ている。
「どうした?」 「いえ、」 「なんだよ、何か言いたいことがあるんなら、言って、気持ち悪いから、」 「工藤さん、変わったな、って思って、」
「変わった、って、どこがどう?」 「しっかりした、」 「おい、そんなふうに君に言われたくないな、子どもみたいに、」 「でも、そう思った、」
レイちゃん、俺ももう33歳だぜ、しっかりして当然、だろ。 まして部下を引き連れての出張中だ、グテグテ飲んだ暮れていられないよ。
「ま、そろそろ落ち着いてきたってことかな、」 「まだ早いんじゃないですか、落ち着くのは、」 「早い、。そうかな、でも、しっかりしたってのはいい意味で言ってくれたんだろ、」 「そうですけど、落ち着く、とは違います、」
「そうか、まあいい、けれど、君も変わったよ、」 「私、ですか、」 「うん、」 「どう変わりました?」
私はレイの入社以来の3年間をふっと振り返る。 高校出の少女が大人になって、今や俺とタメ口のようにこうして話している。
仕事ではものになった。
女としても、。
たぶん。
* * *
クリスマスラブストーリーUPしてます。(今日まで)
「僕たちのクリスマス」(こちら)
お時間ある時に読んでみてくださいね。 よろしくお願いいたします。
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