J (3.秘密の恋愛)
3. 想い出の夜 (4)
レイとふたりになれる。
これが私の心をぱっと明るくさせた理由でした。
私は彼女にちょっとしたご褒美をしてあげたいと考えていた。(参照こちら) せっかく大阪に来て仕事だけでとんぼ返りも可哀想だ。 どこか思い出に残るようなところに連れていってあげたいものだと。
だけど皆と一緒じゃぁな、と私はもやもや考えていたところでした。
それを鏑木さんたちは別行動を取ると言う。
私は内心、ラッキー、と思ってしまいましたよ。
しかし、私は自分のそんな心の動きをひた隠しに隠して、悔しそうに言いました。
「仕方ないなぁ、僕は一応この出張の責任者だし、、、。 ま、僕の分まで楽しんできてくださいよ、鏑木さん、。 ですけど、くれぐれも飲み過ぎないでくださいね、明日もあるんですから、」 「分かってるって、じゃ、悪いな、そういうことで、レイちゃんを頼む、」
秘密の談合を終え私たちはトイレから戻りました。
・・
レイとふたりになれる。
けれどまったく疚しい心は私にはありませんでした。
私が過去持っていたレイに対する恋愛感情は固く心の奥底で封印されていましたし、 と言うよりは全ては過去のこととして風化してしまっていましたから。
私は純粋に部下を労いたい、そう思う親愛の情しか持っていなかった。
はっきりとそう言いきれる自分がそこにいました。
酔ってはいましたが。
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