J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年12月20日(土)    それに、、、レイちゃんが可哀想ですよ。

J (3.秘密の恋愛)

3. 想い出の夜 (3)


そろそろお開きにするか、という頃合いになり、
私はトイレへと席を立ちました。
鏑木さんも、じゃ、俺も、とふたりして連れ立って。

「ふぅ〜、で、クドちゃん、次どうすんの?」と鏑木さん。
「次って?」と私。
「またまた、もう一軒、どうすんだってこと。このままホテルに戻るのか?
 んなこたぁないよな、ほら、行きの新幹線の中で話してただろ、」と鏑木さん。
「あー、そういうこと、どうしましょうかね、、、」と私。(参照こちら


私は歯切れが悪かった。
みないい様に酔っていて元気だけれど、
実際は朝から働き詰で草臥れている、そして明日もある。

ここでもう一軒、いつもの調子ではしごして大丈夫だろうか、
と心のブレーキが働いて。

そしてレイ。

彼女はわれわれ以上に草臥れているはずだ。
初めての出張で慣れない場所で責任者として神経を使い、
食事も取らず一日中立ち通し、気力体力とも使い果たしているに違いない。
我々男が楽しむような店に行ってまた気疲れしなければいいが。


「けど、鏑木さん。明日もあるんですよ。それに、、、レイちゃんが可哀想ですよ。
 彼女はもう一杯一杯の筈です、鏑木さん、一緒だったから分かりますでしょ、」
「うーん、そうだな、うん、レイちゃんは確かに頑張った。」
「でしょ?」
「じゃぁ、クドちゃん、悪いがオレ達だけで行ってくるよ、」
「オレ達、って。」
「宮川と安田と、さ。奴ら昨日行った店よかったよかったって言うんで。
 実はもう話が出来ているんだ、ガハハ、」


その話を聞いて、私の心はぱっと明るくなりました。

ぱっと。


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