J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年12月17日(水)    私はレイを抱きしめてやりたい気持ちになりました。

J (3.秘密の恋愛)

2. 出張 (14)


こうしてイベントの初日は大盛況のうちに幕を閉じました。
私たちは目標を倍上回る実績を得て、これ以上ない成功をおさめました。
これもそれもスタッフ全員が持ち場持ち場で最高の仕事をしたからの結果です。

私は私のスタッフの力に感動を覚え閉場する頃にはうっすら涙さえ浮かんだものでした。


夕方6時過ぎに私はレイに先に上がるように言いました。
閉場は7時でしたが、その頃にはお客の数も極端に減ってきていましたし、
あとは時間が来るまで待って後片付けをするだけでしたので。

朝5時から始まり、開場してからはずっと立ち通しだったレイ、
少しでも休息の時間を与えたい、そういう私の配慮もありました。

レイは、「私、大丈夫ですよ、」と言いましたが、
「ほら、終わったらまたみんなで食事に行くんだ、女性は時間、かかるだろ、
 シャワー浴びて、お化粧直して、着替えて、、その時間、必要だろ、」
と私は言ってこの時は納得させました。

「あ、はい、、、、何時ごろ出かけますか?」とレイは時間を尋ねる。
私は笑顔で、「んと、8時出発、で準備しておいて、ね、」と答える。

そして。
心を込めて「今日はよく頑張ったね、おつかれさん、」と言うと、
レイもその労いの言葉が心に響いてか、
「はい、」とだけ言って目を潤ませました。


よっぽどレイは気を張って仕事をしていたのでしょう。

「じゃ、先に上がります、」と言って会場を後にするレイの後姿は弱々しかった。

その後姿を見て、私はレイを抱きしめてやりたい気持ちになりました。


もちろん、恋愛の情ではなく、
よく頑張った部下に対する親愛の情をもって、です。



(2.出張、の項 終わり)



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