J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年12月14日(日)    女って奴はどうしてその場のシチュエーションを理解しないんだ

J (3.秘密の恋愛)

2. 出張 (11)


会場ではレイが手持ち無沙汰な様子で私を待っていました。

私は「どうしたんだい?、ぼけっと突っ立って、」少し荒々しく声を掛けました。

時間がないんだ、どんどんと準備をしなくっちゃ。
そういうハッパを掛ける意味を込めて。


レイはちょっと口を尖がらせて、
「準備も何も荷物が来なくては出来ません。」と答えました。
「そ、それはそうだが、ほら、雑巾で棚拭いたり、やることあるだろに、」むっとした顔で私。
「でも、ウエスも荷物の中に入ってるですよぉ、
 、、、もう工藤さんたら一人で張り切って行っちゃうんだから、」
レイも少しむっとした顔になり答えました。

、、、たく、女って奴はどうしてその場のシチュエーションを理解しないんだ、
今はそんなことで君と話をしている場合じゃないじゃんかよ。

「行っちゃうったって、それならそれで追いかけてくればいいじゃないか、
 いいかい、レイちゃん、ここでは自分で判断して何でもすぐに行動してもらわないと、
 遊びじゃないんだ、戦場と思って気合を入れて貰いたいな、」
そう私は言い切って、「ほら、ウエス、」とダンボールを開けてレイに雑巾を投げました。

「さあ、準備だ、無駄口叩いている暇あったら体を動かせよ、
 俺はあっちやってくるからな、ここは頼んだぞ、」
私はレイの返事を待たずにそこを後にしました。


私は輸入衣料のコーナーを段取りしました。
鏑木さんら3人が次々と荷物を持ってきてはそれを開梱し、商品を陳列していきました。
レイはレイで輸入雑貨のブースを鏑木さんらから荷物を受け取り手際よく準備しました。


やがて自分のブースの準備も終わり、ストック場の整理も済んだ頃、
私はレイのところへ行き声をかける。
「お、よくできた、やっぱり君がきてくれてよかった、上出来だね、」

けれどもレイは遠く返事をする。ぶすっとして。
「はい、なんとか、」

もー、さっきは悪かったよ、機嫌直してね、と言おうかなとも思いましたが、
ま、これでいい、これで自分で何でもやるだろう、と私は思い直し、
レイの機嫌は無視して次の動きを指示しました。

「ん、よし、じゃ、いったん部屋に戻って着替えるか、
 レイちゃん、先帰っていいよ、女性は時間がかかるだろ、
 で、8時にまたロビーだ、朝食を取ろう、時間厳守だよ、」

私はそうレイに言い置き、またその場を後にしました。



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