J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年12月12日(金)    レイの部屋は私の隣りでした。

J (3.秘密の恋愛)

2. 出張 (9)


あの時、私はまだ独身だった。
あの時、レイは新入社員だった。
3年前のあの日、あの頃、あの当時。

その後私は友美さんと結婚し子どもも生まれた。
レイは何人かの男と付き合い女になった(らしい)。
あの日、あの頃、あの当時から、今の私とレイの環境は大きく変わった。

3年でものにしてやる、といった面接の時の約束(参照こちら)も、
今回の出張を契機にそれが現実に果たされようとしつつある。

これで、これでよかった、すべてよかったんだ。


私は横に座るレイを身体に感じながら、心の中でそう思いました。


・・

「レイちゃん、この仕事が成功すれば、また道が開ける。頑張るんだぞ。」

私はついそういう言葉が口からでました。
レイは急に私がそんなことを言ったのでキョトンとしながらも、「はい、」と答えました。

「クドちゃんはレイちゃんにはいつも厳しいな、ま、俺もいるし、みんなで頑張ろうな、」
鏑木さんが口を挟み、そして「ガハハ、」と座を和らげるように笑いました。


タクシーはホテルへ。

私たちはそれぞれの部屋へ。

レイの部屋は私の隣りでした。

「おやすみ、」
「おやすみなさい、」
「じゃ、明朝5時、ロビーってことで、」


部屋は鏑木さん、レイ、私、宮川、安田、と横一列並んでいました。

レイを鏑木さんと私の間にしたのは会社への配慮でした。


何かあっても、変に勘繰られてもいけないので。



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この物語はフィクションです。

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