J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年12月03日(水)    外回りの営業は自由で気楽に見えるらしい

J (3.秘密の恋愛)

2. 出張 (2)


大阪に着いたらすぐにホテルに直行し早めに休むことにしていました。
イベントは翌日翌々日の二日間、準備は当日の早朝と決まっていましたので。

用意は万全でしたし、東京では何度もその種のイベントを経験しているスタッフ、
初めての会場という不安以外は準備に然したる心配はありません。
結果が求められるのは責任者である私だけです。
行きの新幹線の車中で私以外のスタッフは俄然リラックスしていきました。
鏑木さんが同行していることもありましたが。

もともと経理部出身の鏑木さんにとって出張は稀のことでした。
内勤の社員からすると外回りの営業は自由で気楽に見えるらしく、
出張と聞くと会社の金を使って遊びに行くようにでも考えている者もいて、
鏑木さんとしても今回の出張は楽しみにしていた風でもありました。

そして彼には責任はありません。
若い者が羽目を外さないようにとのお目付け役みたいなものです。
気楽なものでした。

今回の出張中このお目付け役が一番羽目を外すことになるのですが。


・・

私の隣に座った鏑木さん、さっそく言いました。
「くどちゃん、飲んでいこうよ、
 どうせ向こう着いたって今夜はやることないんだろ、」
「ええ、そうっすね、でもあんまり飲みすぎると明日朝大変ですよ、」と私。

「何、大丈夫、その辺はわきまえて、だ、
 それにいつも飲んでるんだろ、出張中、
 俺がいるからって畏まるな、いつもどおりにやってくれよな。」

いつもどおり、と言っても、行きの車中からは飲んでないですよ、
とぼそぼそ私は言いながらも、
出張を楽しそうにする先輩の気持ちも分からないわけでもなく、
「じゃ、そうしますか、夜も早いし、」
と答え宮川と安田をビールを買いにやらせました。


あー、また飲むのか、この話、、、。


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