J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年12月02日(火)    2. 出張

J (3.秘密の恋愛)

2. 出張 (1)


置かれた立場は営業の統括者。
役職は課長補佐。
責任は役員並。
ただし人事権も決済権もない。
つまり社外では責任が重く、社内では軽んじられた立場。
それが当時の私でした。

その私にとって唯一息を抜けた機会が出張でした。
正当な理由さえあれば自由に時間と金を使えました。
正当といってもこの新しい事業において、
仕事の内容を把握している者が社内にいないこともあって、
私にはいくらでももっともらしい理由をつけることができました。

出張中私は好きに遊び好きに飲み食いし好きに過ごしました。
国内海外問わず。


ただし会社の金を流用して遊んだ、ということではありません。
節度ある範囲内で自ら律して必要最低限ということです。

仕事を成功させるためにはある程度の心の余裕が必要。
時間も金も。
そして俺は俺の力でこれだけの利益を会社にもたらしている。
そういう自信もあって。

ということです。


++

6月はすぐにやってきました。

私と宮川、安田、初出張のレイ、
そしてお目付け役の鏑木さんは、
夕方の新幹線で大阪へ向かうことになりました。


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