J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年09月27日(土)    工藤クン、ちょっと生意気過ぎるぞ、

J (3.秘密の恋愛)

1. 総合職 (15)


「樋口さんのような若い子を出張に出すなんてどういう了見なんだね。工藤君。」
「は、、、、」

私が一番心配していた問題にこの経理担当専務はメスを入れる。

この保守的な会社にあってはたとえ総合職といえども、
女子社員の出張はなかなか認められないものでした。
そのため表向き男女の差別がない筈なのにも関わらず、
女性は下に置かれがちでその職分もおのずと制限されていました。



私は正面突破を試みるよりも迂回してこの問題を崩していく腹でした。

まずレイを総合職にする。
それが第一歩。
そして差し迫った必要上から出張を認めて貰う。
既成事実を積み重ねる。
やがてそれが了解事項になる、、、。

、、、今思い起こせば姑息で幼稚な策略です。


そこに経理担当専務はメスを入れた。
それも常務会の席上で、いきなり、私を呼びつけて。

私はシドロモドロになり、言葉に詰まりました。

ちらりと部長の顔を見る。

部長もしかめっ面をしているばかりでした。


困った。


経理担当専務は、ほうれ見ろ、といわんばかりの顔。
工藤クン、ちょっと生意気過ぎるぞ、人事に口出しするなんて10年早いわい、
と顔で言っている。

とつい経理担当専務は口を滑らした。

「君、樋口君を出張に連れて行くのは、君の個人的な好みじゃぁないのかね、」


カッと私の頭に血が上りました。


何だと!



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