J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年09月22日(月)    叩けよさらば開かれん、

J (3.秘密の恋愛)

1. 総合職 (13)


その晩、友美さんに会社の女性社員の人間関係のことを尋ねて見ましたが、
案の定はっきりとは話してはくれませんでした。
何も聞いても「うーん、」と言葉を選びながら当り障りのないことを述べました。
ただそうした友美さんの歯切れの悪い物の言い方から察するに、
レイの危惧するような派閥やイジメ(参照こちら)が起こり得ると想像できました。


確かに。
営業部内にもお局さんと言われる人がいるなぁ。
でもその人とオレは仲が良い。
そんな人をイジメルような人には見えないけれど。

ま、大概表に出ていることの多い営業職のオレには、
日中の社内の人間関係なんて凡そも分ってはいなんだろうが。

いくら考えたってその場に直面しない限りにはなんとも言えないな。
イジメられるのがイヤなので、なんて断わりの理由にはならないだろうに。

、、私はそう結論を出しました。


・・


翌朝、出社したレイに私は聞く。
「よく考えた?」
「はい、でも、」
「でもはもういい、君、僕の言うことを聞け、」
「はい、」
「これも君が入社する際に面接で僕が話したことだが、」(参照こちら
「、、、」
「たった一度の人生なんだから、さ、
 自分が望まない道に流されるように進まないこと。」
「、、、はい。」
「もし、イヤだな〜、と思ったら、はっきりそういうこと。」
「、、、はい。」

「どうだ、イヤか。」
「、、、」
「イヤではない、だけど、不安、ということだろ、」
「、、、ええ、」
「じゃぁ、オレに聞けよ、どうしたらいいか、」

レイはにっこりしました。
そして、
「工藤さん、私、どうしたらいい?」と聞きました。

ふふ、いつものレイにもどったな。

私は笑みを浮かべこう答えました。
「前に進め、だ、よ。叩けよさらば開かれん、だ、」

レイは吹っ切れたようにニコッとしました。
そして、
「はい、叩けよさらば開かれん、ですね、了解です、」
と言いました。


さあ、稟議書とやらを書くか。



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