J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年09月16日(火)    当のレイちゃんは何て言っているんだ、

J (3.秘密の恋愛)

1. 総合職 (8)


部長は私の心のうちを知っていました。
私がレイを総合職に職分を変えさせたいと考えていること。
そして今回それを実現させようと心して出張の相談をしていること。

部長が私の心を読むように言いました。
「今回だけ、っていう、その特別な計らいじゃ、納得せんのだろ?」

私は口元だけニヤリとし、目は厳しい目のまま、
「当然です、このイベントは年4回あるのです、
 それ以外にもこの種の出張は常日頃からあります、
 今回に限ったことでは有りません、
 私は樋口さんを総合職に抜擢したいのです、」
と返答しました。

「、、、うむ、分った、」
「、、、ではご了解いただけるのですね。」
「バカ、俺が決裁できることではない、人事部長に相談してやる、
 最終的には社長決裁だ、君も最後まで自分の意思を通すんだぞ。」
「は、はい、」

「、、、そう、まず稟議書を書け、そこからだ、」
「はい、、、、どのように書けば、いいのでしょう?」
「バカ、自分で考えろ、、、、たく、レイちゃんをだな、どうして必要なのか、
 君が今考えていることを社長以下の重役に納得させられるように書くんだ、」
「は、はい、」

・・返事をしながら私は、(でも、一歩進んだぞ、よかった、)と思いました。


部長が続けて言いました。
「ところで、当のレイちゃんは何て言っているんだ、
 彼女の意思は確認しているんだろうな、」
「と申しますと?」
「総合職になる、となると仕事も男と同じにこなさなければならない、
 いや、仕事は彼女はできるからいいとしてもこれまで以上にキツクなるだろう、
 それと、出張だが、遊びに行くわけじゃない、責任も大きい、
 そういうことを彼女に説明して彼女の意思も君と同じくしておかないと、」
「はい、」
「ということだ、ま、レイちゃんとよく相談してから稟議書を書けよ、分ったね、」

「分りました、」


・・


レイの意思。

私はよかれと思って部長と掛け合ってきました。
しかし彼女にキチンとそのことを伝えてはいませんでした。

レイが総合職になること。
実は私は可能性が低いと弱気に考えていたのです。

なので冗談でこそそういうことをほのめかしたことはありましたが、
過度に期待を持たせてもいけないと思い殆ど内密にしていたのでした。



いよいよの段になって、レイの意思はどうか、か、、、。


私は髪の毛をくしゃくしゃっとして天井を仰ぎました。


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