J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年09月11日(木)    彼女はあくまでも事務職として採用されていた。

J (3.秘密の恋愛)

1. 総合職 (3)


仕事の業績は伸び、家庭は落ち着き、私は飛躍の時期にありました。
飛ぶ鳥も落とす勢い、という言葉が当に合いました。
何をやってもうまくいく、人は私に集まり私のために動きました。

私は前だけを見て生きていられたのです。


社内の環境も随分と変わりました。
いや、刻々と変わっていく時期でした。
業績の向上とともにスタッフを増やし、
その度に体制を組替えていました。

私は少数精鋭で纏めていくように心掛けていました。
猫の手を借りたい時でも応援は求めましたが、
専属のスタッフを軽々しく増やすことは望みませんでした。

そのため当初からいるスタッフはプロとして高度な仕事を否応なく求められ、
事業が拡大してゆくにつれその仕事量は膨大に膨れ上がってゆきました。



レイはそうした私の下で着実に仕事を自分のものにしてゆきました。

3年経った今、彼女は私とほぼ同様にすべての仕事をこなせるようになっていました。
ないものはただひとつだけ、彼女の社内的なポジションだけでした。


彼女はあくまでも事務職として採用されていた。

大卒の男性社員より仕事ができたとしても評価は低い。


私はなんとかならぬかとよく部長と相談したものでした。



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この物語はフィクションです。

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