J (3.秘密の恋愛)
1. 総合職 (2)
仕事が忙しいからといって私は家庭を顧みない、ということではありません。 時間があればその時間はすべて家族のために費やしました。 たまの休日には必ずお弁当をもってどこかへ出かけました。 誰の目からも仲のよい好感の持たれる家族、を私は演出したものです。
それは何より友美さんへの愛情の表現になりました。 友美さんは私の中で生きる、そういう夢を持っていました。(参照こちら)
私はいつでも友美さんといられる時は、 友美さんの居心地のいい過ごしやすい世界を作るのです。 すると友美さんは心から喜んでくれる、 そして私はその表情を見ると生きている喜びを感じる、 私と友美さんはそういう夫婦関係が成り立っていたのでした。
長女の雪子は私にとって宝の存在でした。 私は雪子を「ユキ」と呼び可愛がりました。 ユキは普段あまり接しない私にあってもよくなつき、 愛くるしい笑顔は疲れた私の慰みになったものでした。
ユキの出生後、私の友美さんに対する性的能力は復調しました。 もとより、正常な能力を有していた私だったのです。 ただ、妊娠した友美さんに“女性”を感じなくなっていた、 それだけだったのかもしれません。
ですから、 私と友美さんは普通に夫婦生活を営んでいました。
普通に。です。
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