J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年08月08日(金)    実家に戻る道々私は考える。これからのこと。

J (2.結婚)

14. 生と死 (11)


レイ、ちゃん、、、。通夜に来ていてくれていたんだ、、、。



私は気づいていませんでした。

通夜の間中、私は正面に向かい頭を下げていた。
その横をレイが通っていたとは。

社員の葬儀について会社関係の弔いはその部署の上役が葬式に参列する、
そういう決まりが会社にはありました。
際限なく社員が参列することを避けるための決まりごとでした。

なのにレイは、、、。

ひとりで来たのだろうか、、、。



受付は町会の世話人がやってくれていました。
私は手ががりを求めて挨拶がてらそのことを聞きにいきました。
覚えているわけはないと思いながらも。

しかし、レイのことは強い印象を持って記憶していたのです。

「ああ、この娘。覚えているよ。何だって最後のほうにひとりで来てね。
 ほら住所がずいぶんと遠いところだったから声をかけたんだよ。」

確かに。
レイの実家の住所が書かれている。
○×郡○×村、、、。
ああ、これはあの時履歴書に書いてあった間違いないレイの住所、、、。(参照こちら

「ずいぶんと遠いところから来たんだね、親戚の人?って聞いたんだ。」
「それで?」
「うん、そうしたら、いえ違います、知り合いです、とだけ言って。」
「ああ、会社で禁じられているから、」
「あ、純ちゃんの会社の人だったの?」
「ええ、僕の部下なんですが、、、そっか、わざわざ来てくれたんだ、、、。
 あいや、どうもすみません。だからドウだって事はなくって。
 いろいろお世話になりました。」

私は頭を下げる。町の世話人は思いやりを持った声で話し掛ける。

「純ちゃんも大変だな、子どもが生まれて、お父さんが亡くなって。
 お母さんの面倒もみなくっちゃね。同居するんだろ。これから。」
「いや、まだ、そこまで考えていなくって。いずれは、ですけれど。」
「ま、お母さんひとりじゃかわいそうだからな、よく考えてやんな。」
「はい。よく考えます。ありがとうございました。」



実家に戻る道々私は考える。

これからのこと。

みんなのこと。

私の大切な人々のこと。

妻。
生まれて来た子ども。


母。
友美さんのご両親。



そして、、、レイのこと。


だがレイのことはすぐにその場で取り消した。

首を振って。




(14.生と死、の項 終わり)



《第二章 結婚 終わり》



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この日記は全てはフィクションであり、
実在する人物をモデルにして書くものではありません。

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本日を持ってこのJ(ジェイ)の第二章を終わりにします。
明日はライコスの思い出と今後の執筆予定と移転先などをUPいたします。
長い間どうもありがとうございました。そしてこれからもよろしくお願いいたします。

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