J (2.結婚)
14. 生と死 (7)
「はい。工藤ですが、、、。」 「あ、純一さん、良かった、そちらにいて。」
(お義母さん!)
「純一さん、友美が、生まれそうなのよ。今、産気づいて。 車でこれから病院に行くの。お義父さんが車を今出してきて。」
(!)
「病院は知っているわね、じゃ、待ってるからね、急いで来てっやってね。」 「は、はい、今からすぐに。そちらに向かいます!」 「雪道だけど、気をつけてね。、、、そちらのお父さん、お母さんによろしく伝えて。」 「は。はい。」(それでですね、) 「何?、あとでこちらで聞きますわね、もう行くのよ。じゃ、」
電話はそれで切れた。 慌しさが耳に残る。
子どもが生まれる!
ああ、ああ、なんという巡り合わせなんだ。
・・
「お母さん、友美さんが、」 「うん、すぐに行きなさい、向こうのご両親によろしく言っておくれ。 その子は、お父さんの生まれ変わりだよ、。大事にしてあげて、ね。」 「はい、明日の午後には帰ってくるから、ちょっと行ってくる、」
「どうしたんだい、純一君、。」
様子が変なことを察した叔父が私に声を掛ける。
「子どもが、。生まれそうなんです、。」 「そりゃ、また、拠りによって、、、、。」 「、、、叔父さん、お母さんのこと、ちょっと頼みます。すぐに出かけないと。」 「ああ、だが、純一君、お父さんの葬式は。」 「すぐに、帰ってきます、よろしくお願いします。お願いします。」
私は頭を畳に擦り付けるようにして叔父に全てを頼みました。 叔父は「分かった、気をつけてな、」と言ってくれました。
私は取るも取り合えず表に出る。
車のエンジンを回す。
雪、雪が降っている。
季節外れの雪が。
この雪は私の心の中にまで降り積もり、
静粛な心持ちを私にもたらすのです。
私は父の死と子どもの生を静かに受け入れつつありました。
|