J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年07月31日(木)    友美さんは既に臨月を迎えていました。

J (2.結婚)

14. 生と死 (6)


「純一。そろそろ友美さんのほうにも連絡したほうがいいじゃないかね。」

母がひっそりと言いました。

友美さんと友美さんの実家には落ち着いてから連絡しよう。
そう決めて私は動いていたのです。

時計を見ればもう夜の9時を過ぎています。
礼を失うことなく連絡するにはギリギリの時間でした。



友美さんは既に臨月を迎えていました。
予定日まであと1週間、
もういつ産気づいてもおかしくない時期になっていました。

先週私は友美さんの実家に出向いて友美さんのご両親に父の様子を内々に伝え、
生まれるその時にはすぐに駆けつけますからと、
付き添っていてやれないことに理解を頂いていたのです。


、、、友美さんには父の病状は一切伏せていました。

余計な心配をかけるな、そういう父の希望もありましたので。

まさか。
父の死が先に訪れるなんて。
思ってもいなかったことでしたので。


私は電話の前に座る。

なんとも複雑な気持ちで溢れてしまう。

私は。

私は、幸せを迎える家族に悲しみの報を伝えることが辛かった、、、


しかし仕方ないジャンか。

それが運命、なんだから。

其々の人生、生きて死す、それだけのこと。

その偶然が重なっただけなのだ。



一息すうっと息を吸い、受話器に手をかける私。


そしてその時電話のベルが鳴る。


リリリリリリン、リリリリリリン・・・・・・・・と。



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この物語はフィクションです。

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