J (2.結婚)
14. 生と死 (5)
キッと気合が入った私から悲しみが消え去りました。
私は全ての段取りを淡々と進めました。
知らせを受けた会社の総務の社員がアドバイスを逐一してくれ、 私は次から次へとやるべきことをテキパキと進めました。
葬式は自宅ですることにしました。
身近にいる親戚の人々が駆けつけてくれました。
これまで隠し通していたことに対して文句もありましたが、 この期に及んでは言っても仕方がないこととして、 事情を話して頭をひとつ下げると皆理解を示してくれました。
日を選んで父の死の翌々日を通夜、そのあくる日を葬式にすることとしました。
・・
死のその夜、冷たい父は自宅に戻りました。 雪の降る道をひっそりと。 私と母、そしてひとりの叔父に連れ添われて。
ふとんに横たえて父の顔を見る。
(死んでる、、、。)
私はそこに物体となった父を発見し背筋がゾクっとしました。
人間、生きているうちが全てなんだ、
死んじまったらお終いなんだ、
なんで死んじまったんだよ、
孫の顔も見ないでよ、
早すぎるじゃんか、
え、お父さん、、、。
父に無言で語りかける私の目には涙が溢れていました。 声はなくただ涙が出てきていただけです。 次から次へと涙が流れ出ていただけです。
夜が更けていきました。
長い夜。
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