J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年07月30日(水)    人間、生きているうちが全てなんだ、

J (2.結婚)

14. 生と死 (5)


キッと気合が入った私から悲しみが消え去りました。

私は全ての段取りを淡々と進めました。

知らせを受けた会社の総務の社員がアドバイスを逐一してくれ、
私は次から次へとやるべきことをテキパキと進めました。


葬式は自宅ですることにしました。

身近にいる親戚の人々が駆けつけてくれました。

これまで隠し通していたことに対して文句もありましたが、
この期に及んでは言っても仕方がないこととして、
事情を話して頭をひとつ下げると皆理解を示してくれました。


日を選んで父の死の翌々日を通夜、そのあくる日を葬式にすることとしました。


・・

死のその夜、冷たい父は自宅に戻りました。
雪の降る道をひっそりと。
私と母、そしてひとりの叔父に連れ添われて。


ふとんに横たえて父の顔を見る。

(死んでる、、、。)

私はそこに物体となった父を発見し背筋がゾクっとしました。


人間、生きているうちが全てなんだ、

死んじまったらお終いなんだ、

なんで死んじまったんだよ、

孫の顔も見ないでよ、

早すぎるじゃんか、

え、お父さん、、、。


父に無言で語りかける私の目には涙が溢れていました。
声はなくただ涙が出てきていただけです。
次から次へと涙が流れ出ていただけです。

夜が更けていきました。

長い夜。



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この物語はフィクションです。

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