J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年07月18日(金)    「それで、院長先生のお話はどうだったの?」

J (2.結婚)

13. 父の入院 (13)


タバコを一本、もう一本、そしてもう一本、、、。

吸うごとに私の頭は白くなって行く。

一度にたくさんのことが頭に浮かび、私は何も考えられなかった。

その間、時間が止まったように私は呆然としていただけなのかもしれない。

ただ、タバコの本数が減っていった、
それだけが時が過ぎた事実として残っていました、、、。


・・

「あら、純一、ここにいたの、」

突然のように母に声を掛けられて、はっと我に返った私。

「ああ、お母さん、」
「どうしたの?、ずいぶん時間がかかるから心配して看護婦さんに聞いたら、
 もうとっくにお話は済んでいるって聞いて、、、探したのよ、あなたのこと、」
「、、、う、うん、ちょっとタバコが吸いたくなって、」
「そう、それで、お話は?、院長先生のお話はどうだったの?」
「、、、う、うん、」

私は言葉を探す、しかし、うまい言葉が浮かんでこない。

「悪いの?、お父さん、」
「いや、全然、だよ、なんていうのかな、悪い病気じゃなさそうだよ、」
「、、、。」
「つまり、その、そうだ、ほら、この病院ってさ、古臭いじゃんか、
 だから、ね、検査するにもきちんとした事できないんだってさ、
 そういう話、院長先生の話って、さ、」
「、、、それで、どうしたらいいって?」
「紹介状書いてくれるって、さ、でも、昨日の今日じゃ、ってオレ思ってさ、
 ちょっと考えてみるよ、オレ、お母さんは心配しないで、オレに考えがあるから、」
「、、、そう、じゃ、お願いするわね、私は何にも分からないから、」
「任せておいて、大丈夫、」

私は胸を叩き、母を安心させました。


とりあえずは、それでいい。

さりとて、これでは一時凌ぎのこと。

ここのヤブ医者に紹介してもらったところで信頼はできないし、、、。


、、、。


そうだ!

部長!

部長ならば何かしら知恵をくれるかも。


「お母さん、じゃ、オレ、会社に行ってくる、また夕方くるから、ね。」


・・私は母を病院に残し会社に向かいました。



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