J (2.結婚)
13. 父の入院 (12)
やっぱりこんな古ぼけた病院、ろくな医者がいるわけない。
十分に検査もせずによくも言ったものだぜ、。
もって3ヶ月、だと、!
私は言えぬ怒りで充満して歯をギリギリ食いしばり、 かろうじて、平静だけは保とうとしている、そんな状態でした。
が、沈黙は長くは続きませんでした。
院長は続けて言いました。
「取り敢えずの処置はしてあります、暫くは病状が変わることはない、 ただし、ここでは検査も治療もできないのです、 できるだけ早く専門の病院に移ったほうがいいでしょう。 よければ私が紹介状を出します、専門の大学病院です、如何ですか?」
「ええ、、、、。」
私は躊躇しました。
こんなヤブ医者の紹介で果たしていいのだろうか!?
ここは一人になって冷静に考えるべきだ。
、、、。
私は視線を落として考えるように言いました。 「先生、急のお話で何が何やら判断つきません。 ちょっと、ほんのちょっとの時間、頭を冷やして考えさせて戴けませんか?」
院長はすうっと息を吸って穏やかに言いました。「いいでしょう。」
「それと、先生、お願いがもうひとつ、あります。 父の病状については本人にも、そして母にも内密に願えませんか。」 「分かりました。」 「ありがとうございます。では。」 「お大事に。」
・・
院長室を出た私は父の病室には戻らずに喫煙所へ向かう。
一歩、一歩、一歩、
その一歩毎に私の足はガクガクと崩れそうになっている。
私は手すりに捉まって、
辛うじて喫煙所に辿り着き椅子に腰をおとす。
タバコ。
タバコを持つ手が震えている。ガタガタと。
火。
ライターの火が揺れている。グラグラと。
タバコに火は
いつまでたっても点けられない、、、
落ち着け!
し、し、し、しっ、っ、っ、しっかりしろ、!
オレよ!
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