J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年07月12日(土)    母とふたり枕を並べて。

J (2.結婚)

13. 父の入院 (8)


(ともかくこんな時間だ。今夜は動けない。)
(一人で大丈夫だ、というくらいだから、慌てて動いても仕方がない。)
(朝が明けたら病院に様子を聞きに行こう。)

私はそう考えて明日朝の(正確にはその日の朝の)算段をしました。

(会社は休まなければならないかなぁ、、、)
(だけど、明日は午後から納品があるんだった、まずいな、)
(始発で戻って着替えを持ってくるか、うん、そうしよう、)

とそう決めて私は母に話しかけました。

「お母さん、この時間ではどうもこうもできないから、今夜はもう寝ようね。
 明日朝一番で、オレ、一度家に戻って背広とか取ってくるから、
 それで車で戻ってくる、そしてから一緒に病院にいってみようね。」

母は黙って頷きました。


・・

ふとんを並べて敷き横になる私と母。
目覚まし時計をセットして私は目を瞑る。

(2時間位は眠れるな、、、、)

(、、、ん?)


私は再び目をあけて母の方をむき尋ねました。

「ところで、お母さん、お父さんの病気、いったい何なの?、」

母は首を小さな声で答えました。

「聞いてないの、検査してから、としか、」

「ふーん。ま、いい。明日オレが聞く。おやすみ。」


私は枕もとの電気を消しました、、、。


母とふたり枕を並べて。
私は目を瞑り考える。



思い出深きこの家。
 
私がこの家で寝泊りするのは結婚式以来のこと。


生まれて物心付いてからずっと住み慣れたこの家は、
私のこれまでの人生のすべてが詰まってる。


振り返れば。

駆け抜けるように生きた30年、
思い出すのは楽しい思い出ばかりだ。


だが。

再び戻ってきた今夜。

父の姿はここにない。



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