J (2.結婚)
13. 父の入院 (6)
私が父と最後に会ったのは新婚旅行から帰った数日後でした。(参照こちら)
無骨で無愛想な父はその時も私とあまり話をせずにいましたので、 私も父と向かい合って特別に話をしないまま別れていました。
その時は友美さんの切迫流産のこともあって、足早に実家を後にした、 そういう理由もありましたが。
その後、友美さんの容態も安定し、実家にも友美さんの妊娠を伝え、 私の母はすぐに飛んできて、目出度いだの、何で早く言わなかったのだの、 つまり苦情をうるさく言いながらも喜びを表してくれたものですが、 父といえば一言、そうか、と電話で言ったきり顔を出すこともなく、 そうこうしているうちに年末となって、 じゃあ、新年の挨拶に行った時に詳しくはまた、ということにしていたのでした。
その父が、、、
年の押し詰まったクリスマスの数日前に倒れた、、、。
私にとってみれば青天の霹靂、そんな事態の展開でありました。
・・
「で、何で!どうしたの?どこの病院?」
私はたて続けて聞きますが、 母はもうこの世の終わりかというような声でぼそぼそと話し要領が得ない。
(ち、ともかく、大変なことになっているようだ、)
「分かった、お母さん、今からそっちに行くから、待ってて。」
私は電話を切り、取るも取り合えずに着替え直して、 「トモミさん、なんだか分からんが、お父さんが入院したらしい、 ちょっといってくるわ、まあ、心配ない、今夜は帰らないから戸締り用心、ね。」 とにこりとして言いました。
(身重の友美さんには余計な心配をかけたくない)
私はそういうことも考えていました。
そして私は家を出る。
酒を飲んでいた私は車の運転は諦めて、大通りまで走りタクシーを拾う。
シートに腰を深く落とし、タバコを取り出し深く吸う。
さてと。
しかし事態を整理して考えようとすればするほど、
心は不安に包まれる、
そんな私でした、、、。
|