J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年07月06日(日)    その後レイは私の前では指輪をしませんでした。

J (2.結婚)

13. 父の入院 (4)


その後レイは私の前では指輪をしませんでした。

けれど仕事が終わって帰る時にちらっと見えるレイの右薬指には、
必ずあの指輪が嵌められていました。

誰の目にもそれは恋人から貰ったものとして映りました。


週に何度かレイは早く帰ることを申し出ました。

そんな日は、私はなんとか仕事の都合をやりくりして、
というよりは自分が全てを請け負って、レイを早く帰してやりました。

理由は聞きませんでした。

きっとデートだろう、そんなことは聞くのも野暮と思いましたので。


私にとって、関係のないこと。

そう決めつけていた私でした。


・・

しかし、レイの恋人についてのことは、
本人から聞かずとも周りから耳に入ってきたものです。

レイは私と友美さんの結婚式の日に出会った何者かと付き合っている。

そんな話が噂話として聞こえてきました。
ですがそれが本当かどうか、誰も知らないようでした。
知っているは同期で友人の杉野佳菜だけだったようです。

もとより、私にとっては関係のないこと。
私とレイは特別なものは何もない単なる上司と部下、なのですから。

あるのはただひとつ。

君を3年でものにしてやる、と言ったあの約束だけでした。(参照こちら


だけど!

気にならないわけはないじゃないか!

心の奥底の感情はそんなでしたが。

何故なら、結婚式の日に出会った何者か、
として頭に浮ぶのはまたあの男だったからです。(参照こちら


ともかく。

ぐっと堪えて私は強い自己を築いていった、

そんな頃でありました。


その年の暮れ、、、。



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