J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年07月04日(金)    安定期に入っている友美さんとの交わりはもちろん可能なことです。

J (2.結婚)

13. 父の入院 (2)


常日頃から帰宅時間の遅い私なのに、
さらに年末は得意先との忘年会があり、
家に帰るのは午前様ということが少なくない日々でした。

社内結婚の私たちですので、友美さんもそこらのことは心得ていて、
朝早く夜遅い私に対して何の不満も言うことはなかったのですが、
たまに寂しくなる晩もあってそんな時友美さんは私に慰めを求めてもきました。

安定期に入っている友美さんとの交わりはもちろん可能なことです。

が、私は、、、それをできませんでした。


理由はいくつもありました。

切迫流産のショック、も当然に残っていました。
ですが何よりもあの晩、あのコツンとしたような感触の記憶、(参照こちら
そしてその夜に見た夢、あのなんとも言えぬ気色の悪い夢、(参照こちら
それらが強く私の心に残り、
友美さんと交わることを拒絶する自己が私を支配していたのです。

もともと、私は友美さんの妊娠が判明して以来
友美さんの前では“私自身”がものにならなくなっていました。(参照こちら
それを無理をして初夜を過ごした結果が切迫流産だったのです。
私に友美さんとの交わりを拒絶する自己が生まれたことは当然の帰結なのです。


こうして私は、それ以来子どもが生まれるまで、
友美さんがいかに慰めを私に望もうとも、
「心配だから、」という理由で交わることをしませんでした。


・・

ですが何もしなたっかわけではありませんです。(念のため言っておきますが)


私は友美さんが慰めを求めた夜は丁寧に愛撫をしてあげました。


優しく、心を込めて、ありったけの愛情を持ってして。


彼女が満足のゆくまで。


いかにその時私がくたびれ果てていようとも。



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