J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年07月02日(水)    友美さんは不審そうな顔をしました。

J (2.結婚)

12. 指輪 (16)


指輪、指輪、指輪、、、えっと、(どうしたっけ?)

酒に酔ってどうしたか思い出せない、、、。

そう、あの時外して、、、

そうそう、財布の中だ!


「あるよ、ほら、財布の中に、」
「外してたの?、どうして?」
「どうしてって、ほら、営業中は指輪とかしないほうがいいからさ、」
「ふ〜ん、」

友美さんは不審そうな顔をしました。

「なんだよ、当ったり前じゃんか、営業なんだから、
 これ、無くすといけないからしまっておいて、じゃ、行ってくる、」

私は指輪を友美さんに渡しドアから出ました。
追いかけるように友美さんが言いました。

「いってらっしゃい。気をつけて。」


・・

あ〜あ、またマズイ言い方しちゃったな。

指輪についてうっかり忘れてしまってた、、、。

・・足早に駅に向かいながら考える私。


けれど。

駅につく頃にはそのことも心から離れました。

もう頭の中は仕事に切り替わったからです。


それ以来、私は指輪をしていません。
友美さんがどこにしまったのかも知りません。
友美さんの心のうちを聞くこともなく今に至っています。

私は、全ては仕事のため、それで整合性を自らに与えたのです。


友美さんは、、、大切に指輪をしていますけれど。


(12.指輪、の項 終わり)



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