J (2.結婚)
12. 指輪 (16)
指輪、指輪、指輪、、、えっと、(どうしたっけ?)
酒に酔ってどうしたか思い出せない、、、。
そう、あの時外して、、、
そうそう、財布の中だ!
「あるよ、ほら、財布の中に、」 「外してたの?、どうして?」 「どうしてって、ほら、営業中は指輪とかしないほうがいいからさ、」 「ふ〜ん、」
友美さんは不審そうな顔をしました。
「なんだよ、当ったり前じゃんか、営業なんだから、 これ、無くすといけないからしまっておいて、じゃ、行ってくる、」
私は指輪を友美さんに渡しドアから出ました。 追いかけるように友美さんが言いました。
「いってらっしゃい。気をつけて。」
・・
あ〜あ、またマズイ言い方しちゃったな。
指輪についてうっかり忘れてしまってた、、、。
・・足早に駅に向かいながら考える私。
けれど。
駅につく頃にはそのことも心から離れました。
もう頭の中は仕事に切り替わったからです。
それ以来、私は指輪をしていません。 友美さんがどこにしまったのかも知りません。 友美さんの心のうちを聞くこともなく今に至っています。
私は、全ては仕事のため、それで整合性を自らに与えたのです。
友美さんは、、、大切に指輪をしていますけれど。
(12.指輪、の項 終わり)
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