J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年07月01日(火)    私は無言で支度をして玄関に向かう。

J (2.結婚)

12. 指輪 (15)


しかし時間がない。
友美さんとゆっくりなんか話してられない。
あと10分や15分で出ないと間に合わないぞ。

昨日の今日だ。
酒を飲んだ翌日は意地でも早く出社しないと体裁が悪い。


私はシャワーを適当にしてそそくさと着替えを済ませる。
頭はまだ重い、アルコールが残っている。

食事。
う〜ん、食べられそうもないなぁ、これじゃ。

でも、しっかりしないと。
義母の手前もあるしな。


・・

茶の間には簡単な食事が用意されていました。
一緒に食べようと友美さんが待っている。
義母は席を外している。

ご飯を軽く盛ってくれる友美さん。
「ありがと、」、、、一口頬張る私、しかし食が進まない。
「お湯あるかな、お茶漬けにして食べるよ、時間ないから」
私はお湯を貰って飯を飲み込み、辛うじて食を済ませました。

一服を点けながら話す私と友美さん。
「身体の具合は、どう?」
「大丈夫、よ、」
「そうか、大事にしてね、」
「うん、」

時計を見る私、そろそろ行かないと。
「さ、行かなくっちゃ、今夜は早く帰ってくるからさ、」
「、、、うん、何時頃?」
「う〜ん、できるだけ、仕事の都合により、だからなぁ、でも最善を尽くして、」
「ご飯は?、一緒に食べられるの?」
「それも仕事の都合によってだな、仕事の都合で遅くもなり早くもなりだし、
 そうそう、お義母さんもいることだし先に食べておいてよ、ね、」


友美さんだってオレの仕事、知ってるでしょ。
営業に定時はないの。
分かってよ。
もう時間がないから行くね。


私は無言で支度をして玄関に向かう。


!、そうだ、義母に挨拶しておかなくっちゃ。

私は義母の部屋に行き襖の外から声をかけました。
「お義母さん、行ってきます、トモミさんをよろしくお願いします。」
義母は「あら、もう、」と言いながら部屋から出てきました。

「今夜は早く帰ってきてあげてね、純一さん、」
「は、はい、できるだけ、でも仕事の都合もありますので、」

、、、なんとも、、、バツが悪い私です。


・・

玄関で友美さんは靴を出していてくれました。

友美さんが身繕いを確かめてくれる。

ネクタイ、よし、っと。

あら?

なに?

純一さん、指輪は?

あれ?、、、え!?



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