J (2.結婚)
12. 指輪 (13)
そうだ、あのあと電話していなかった、 何時に帰るとも言わなかったから、 たぶん友美さんのことだから起きて待ってたんじゃ、、、
私は、しまった!、という思いにかられました。 独身時代ならいざ知らず、結婚して待っていてくれる人がいる今になっては、 キチンと連絡をしておくべきだった、そう思いました。
が、もう後の祭りです。 すでにこんな時間です。 そして私はヘロヘロに酔っ払っています。 思慮深く友美さんに接する芸当は到底できるものではありません。
私は無防備にドアに手をかけそして家の中に入りました。
・・
どうやら皆寝ているようでした。 皆、と言っても、友美さんと義母のふたりですが。
私はそおっと足を忍ばせて茶の間に入る。 夕食の準備がテーブルの上にされていました。
あ〜あ。まずいな、こりゃ。
そっと襖に手をかけて隣りの部屋を覗いてみる。 友美さんが明かりを点けたまま横になって寝ていました。
よかった、寝ていてくれた、 (ただいま、ごめんね、トモミさん、遅くなっちゃって、) 私は心の中で手を合わせそう言い、
そして、
どうしよう、シャワーでも浴びたいところだけど。 ここでガタガタさせちゃ、義母も起きちゃうしな、 しかたがない、このまま眠るか、、、。
、、ふぅ〜、居心地がワルイったらありゃしないぜ。
私は背広を脱ぎ捨てて下着姿になり、そのままふとんにもぐり込む。
明かりを消して。
すると、隣りのふとんから微かに嗚咽が、、、。
トモミさん?
、、、起きてたの?
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