J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年06月27日(金)    かたく私を拒むレイの態度でした。

J (2.結婚)

12. 指輪 (11)


あれこれ考えているうちに私たちは店を出ました。

「どうします、工藤さん。歌でも歌いに行きましょっか。」安田。
「ああ、っと、今夜はオレ帰るから、悪いな、」私。
「ええ!、帰っちゃうんですかぁ!まだ9時ですよ、」安田。
「、、、やっぱな、初日だし、」私。

聞きつけた鏑木さん、大層酔っ払って、
「くどちゃん、もう一軒ぐらいいいだろ、」と強引な口調で私を誘います。
「はあ、でも、」と私。
「最初が肝心なんだぞ、俺ん時なんかは午前様だったさ、」鏑木さん。
そういう言われ方をしては私も引き下がれません。

「ええ、そっすよね、じゃ、もう一軒だけ、」
、、、私は後先考えずにそう答えました。


・・

その後カラオケに行き、2時間ほど飲みながら歌いました。


私はまたずいぶんと酔っ払ってしまいました。

ただ酔っ払ってもレイとの距離は十分以上に保っていました。

酔ってレイが近くにいたら、再び何かが起きてしまうかもしれない。
そうした自分の弱さをよくよく心得ていたようです。

それはレイも同じ。

レイはこれ見よがしに指輪を披けしていました。

かたく私を拒むレイの態度でした。


私は杉野佳菜とデュエットはしましたがレイとはしませんでした。
レイは私以外のほとんどの男と一緒に歌いました。

明らかに意識的に距離を置いているふたりでした。


この距離は私とレイだけがわかる隔たりでした。



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この物語はフィクションです。

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