J (2.結婚)
12. 指輪 (10)
ともかくアルコールが入っての話です。 まともに話しているようでも話の主旨がどんどん変わってしまいます。 男が結婚指輪をするしないという話は焦点がぼけてきてしまいました。
鏑木さんが健全かどうか、そんなことを私が力説しても何の効力もないこと。 ですから私は逆に健全でないエピソードを披露して話を面白くしました。
指輪の話はそれで途切れ、結局酒の席での他愛ない話で終わりました。
しかし、私にとっては皆の前で語ったことが、私ののポリシーとして皆に理解され、 そのことだけが今後の私に重くのしかかることになるのです。
工藤純一は結婚指輪をしない。 工藤純一は結婚指輪をすることがカッコ悪いと思っている。 工藤純一は営業マンであるから指輪をしないのだというポリシーを持っている。
本当は。
そこまで考えてなかったのに!
私は、私はレイとの一件があって、じゃぁ、オレも仕事中は外すよ、 そんな程度のその場の状況判断で指輪を外しただけなのに!(参照こちら)
でも。
自らに整合性を求める私はもはやその自縛から逃れることはできない。
そういう道に踏み出したその時でした。
・・
だいぶ飲みました。明るく楽しく分け隔てなく。 皆大層酔っ払いました。レイも私も。
そして、、、時間になりました。
じゃ、帰ろうか、という時に、私はちらりとレイを見る。
レイはしっかりと指輪をしている。
酔った私の目にはその指輪は私への決別の決意が読み取れた。
ふん、関係ない、私も指輪をしようっと、、、
とと、皆の前じゃできないや。
あとで、こっそりと、家につく前に、っと、、、
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