J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年06月17日(火)    私は本当は帰りたかった。

J (2.結婚)

12. 指輪 (3)


私は本当は帰りたかった。
出社早々飲むなんてことはしたくなかった。

新婚早々だからっていうんじゃない。

友美さんは切迫流産なんだ。
心細く私の帰りを待っているに違いない。

たとえ義母が身近にいたとしても、、、。


だけど、、、
私は仕事の付き合いを優先した。

というよりも、
私は工藤純一としてのイメージを優先した、、、
そう言ったほうがより当たっていたかもしれません。

私は、結婚したら工藤は変わった、などと言われたくはなかったのです。


・・

>結婚したら工藤は付き合いが悪くなった、
>結婚したら工藤は嫁さんのことばかり考えている、

>結婚したら工藤先輩って言ってたことが変わったよね、
>結婚したら工藤先輩って周りのこと考えなくなったよね、

>おい、工藤、嫁さんなんて最初が肝心だぜ、ガツンとやらにゃ、
>おい、工藤、オレだって結婚してんのにお前に付き合ってやってたんだぞ、
>おい、工藤、お前だって下のものを飲みに連れていってやらなくちゃな、

>工藤さん、今夜空いてますか、ちょっと相談したいことがありまして、
>工藤さん、たまには飲みに連れていってくださいよ、オレ溜まっちゃって、
>工藤さん、女遊びってどうすればいいんですか、教えてくださいよ、

>工藤君、今晩どうだい、たまには奢るよ、
>工藤君、今夜悪いが付き合ってくれないか、話がある、
>工藤君、急の接待だ、寿司秀予約しておいてくれ、、、


、、、そうだ、これがオレだ。このオレがオレ。


>ハハ、まっかせときって。
 僕は何にも変わらないよ、今までどおりさ。心配なく。
 たまたま結婚したまでのこと。
 これまで通りお付き合いさせてもらいますよ。


、、、オレはオレを継続する、これがオレなのだから。


・・

>よっし、じゃ、飲みにいこっか。
 今夜は久し振りだからガンガン飲んじゃうぜ。

>工藤さん、家に電話しなくていいんですか?
 友美さん待ってるんじゃないんですか?

>いらん心配すんな、いちいち飲みに行くぐらいで電話してられっかよ、

>でも、今日くらいはしておいたほうがいいんじゃないですか?

>そうだぞ、工藤、オレも友美ちゃんに恨まれたくないからな、電話しとけよ、

>そうっすかぁ、じゃ、、、


、、、私は電話をとりました。



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