J (2.結婚)
12. 指輪 (3)
私は本当は帰りたかった。 出社早々飲むなんてことはしたくなかった。
新婚早々だからっていうんじゃない。
友美さんは切迫流産なんだ。 心細く私の帰りを待っているに違いない。
たとえ義母が身近にいたとしても、、、。
だけど、、、 私は仕事の付き合いを優先した。
というよりも、 私は工藤純一としてのイメージを優先した、、、 そう言ったほうがより当たっていたかもしれません。
私は、結婚したら工藤は変わった、などと言われたくはなかったのです。
・・
>結婚したら工藤は付き合いが悪くなった、 >結婚したら工藤は嫁さんのことばかり考えている、
>結婚したら工藤先輩って言ってたことが変わったよね、 >結婚したら工藤先輩って周りのこと考えなくなったよね、
>おい、工藤、嫁さんなんて最初が肝心だぜ、ガツンとやらにゃ、 >おい、工藤、オレだって結婚してんのにお前に付き合ってやってたんだぞ、 >おい、工藤、お前だって下のものを飲みに連れていってやらなくちゃな、
>工藤さん、今夜空いてますか、ちょっと相談したいことがありまして、 >工藤さん、たまには飲みに連れていってくださいよ、オレ溜まっちゃって、 >工藤さん、女遊びってどうすればいいんですか、教えてくださいよ、
>工藤君、今晩どうだい、たまには奢るよ、 >工藤君、今夜悪いが付き合ってくれないか、話がある、 >工藤君、急の接待だ、寿司秀予約しておいてくれ、、、
、、、そうだ、これがオレだ。このオレがオレ。
>ハハ、まっかせときって。 僕は何にも変わらないよ、今までどおりさ。心配なく。 たまたま結婚したまでのこと。 これまで通りお付き合いさせてもらいますよ。
、、、オレはオレを継続する、これがオレなのだから。
・・
>よっし、じゃ、飲みにいこっか。 今夜は久し振りだからガンガン飲んじゃうぜ。
>工藤さん、家に電話しなくていいんですか? 友美さん待ってるんじゃないんですか?
>いらん心配すんな、いちいち飲みに行くぐらいで電話してられっかよ、
>でも、今日くらいはしておいたほうがいいんじゃないですか?
>そうだぞ、工藤、オレも友美ちゃんに恨まれたくないからな、電話しとけよ、
>そうっすかぁ、じゃ、、、
、、、私は電話をとりました。
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