J (2.結婚)
11. 変貌 (8)
結婚指輪。
これは友美さんとの絆。 この指輪とレイの指輪は重みが違う。
だが。 男が指輪なんてしている方が営業としては確かに問題だ。
それに。 指輪はだめだ、とそう言った本人が指輪をしている。
これじゃぁ、下の者にしめしがつかないじゃんか!
「う〜ん、、、」私は言葉に窮しました。
・・
レイは頭のいい子でした。 私が困惑しているのを見て取ってすぐに私をフォローする。
「工藤さん、すみません、分かりました。 指輪は今後仕事中はしません。約束します。 大切な結婚指輪と私の指輪、いっしょに考えちゃいけないもん。」
この言葉は私の心に響きました。 私は何事も自己に対して整合性を求める男です。 仕事上で、結婚指輪も、遊びの指輪も、同じ指輪であって違いはない。
私はレイに向かって宣言する。
「いや、レイちゃん、君の言う通りだった。 僕も仕事中は指輪を外す事にする。」
「でも、それじゃ、」 「君には関係ないことだ、気にしなくていい。 ただ、これで君も僕も同じってことだから、僕の言うことを聞いてね。」
レイちゃん、と私は優しい眼差しでレイを見ました。
ところが、、、。
今度は、レイが目をそらしました。
私を避けるように。
私は目の前にいるレイが遠く遠く感じました。
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