J (2.結婚)
11. 変貌 (6)
会議室。
私に不在中の出来事を細かく報告をするレイ。 それをフォローする矢崎と鏑木さん。 いちいちに質問し理解しながら聞いている私。
、、、小一時間ほどでレイの報告はすべて終わりました。
「ありがとう、レイちゃん、もう大丈夫だ。よくやってくれたね、」と私。 「いえ、矢崎さんと鏑木さんが殆どやってくれたんです。」とレイ。
それを聞いて鏑木さんは、ガハハと笑い、言いました。 「そんなことないぞ、レイちゃん、一生懸命やってたもんな、 おい、工藤、こりゃ一杯奢ってやらにゃダメだぞ、」 矢崎も続けて、 「そうだ、今晩一杯やるか、工藤の出所祝いってこともあるしな、」 と言うものですから、 私は断るすべもなく、「分かった、分かった、」と言ってしまったのです。
今晩、、、
私の脳裏に浮かぶ友美さん。
そして、義母の顔。
今晩は早く帰らなくては、、、。
矢崎が私に問い掛ける。 「どうした、工藤、浮かない顔をして、」 「いや、」
鏑木さんが私の心を見透かすように言う。 「お、友美ちゃんが待っているってか?だめだめ、最初が肝心なんだぞ。 初出社した日にゃ、たいがい午前様するもんでぇ、まして営業なんだからよ。」 「そうっすよね、、、」 「そうそう、じゃ、決定な、」
そう言って鏑木さんは席を立ちました。 釣られて矢崎も、そしてレイも。 皆して会議室を退出する。
そうだ、レイの指輪の件、、、
私はレイを呼び止めました。 「レイちゃん、ちょっと話がある、」
振り向くレイ。 「なんでしょう?」
私は答えずに会議室の扉を開け手招きをしました。
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