J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年05月21日(水)    友美さんは救いを求めるような表情で私を見つめ言いました。

J (2.結婚)

9. 切迫流産 (15)


私たちは互いに相手にとって良かれと思ったことをしているのに、
どうしても歯車が合わなくなってしまっていたのです。

私は友美さんの身体のことを思い、
友美さんは私に気を使い、
それがお互いに分かっているのにしっくりこない。

友美さんは気持ちが悪くって、
私は渋滞でイライラして、
言わなくてもいいことを言ってしまって黙ってしまった。


(ノド乾いた、か、、、)

しばらくして私は自分もノドが乾いたことを認めました。
しかし、どうすることもできない。この渋滞では。


はあ、、、。

半ば諦めて頭をハンドルに凭れていると、
徐々に車は動き始め、見る見るうちに流れ始めました、、。



運転手は現金なものです。
渋滞を抜け走り始めた途端、急に目が輝いて気分が直ります。

私もその口で俄かに元気が戻りました。


そして友美さんに軽口を叩くのです。

「あはは。もう、なんだったんだろうね、ほら、スイスイ走っている。
 トモミさん、もう少しだよ。我慢してね。♪す〜いすいっと♪」


しかし、友美さんの返事はありません。
横を向いたままじっとしています。

「どうしたの?トモミさん、ね、大丈夫?」


片手で友美さんの肩を揺らす私。

「トモミさん?、友美?」


友美さんは救いを求めるような表情で私を見つめ言いました。

おなかが、痛い、、、



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この物語はフィクションです。

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