J (2.結婚)
9. 切迫流産 (15)
私たちは互いに相手にとって良かれと思ったことをしているのに、 どうしても歯車が合わなくなってしまっていたのです。
私は友美さんの身体のことを思い、 友美さんは私に気を使い、 それがお互いに分かっているのにしっくりこない。
友美さんは気持ちが悪くって、 私は渋滞でイライラして、 言わなくてもいいことを言ってしまって黙ってしまった。
(ノド乾いた、か、、、)
しばらくして私は自分もノドが乾いたことを認めました。 しかし、どうすることもできない。この渋滞では。
はあ、、、。
半ば諦めて頭をハンドルに凭れていると、 徐々に車は動き始め、見る見るうちに流れ始めました、、。
運転手は現金なものです。 渋滞を抜け走り始めた途端、急に目が輝いて気分が直ります。
私もその口で俄かに元気が戻りました。
そして友美さんに軽口を叩くのです。
「あはは。もう、なんだったんだろうね、ほら、スイスイ走っている。 トモミさん、もう少しだよ。我慢してね。♪す〜いすいっと♪」
しかし、友美さんの返事はありません。 横を向いたままじっとしています。
「どうしたの?トモミさん、ね、大丈夫?」
片手で友美さんの肩を揺らす私。
「トモミさん?、友美?」
友美さんは救いを求めるような表情で私を見つめ言いました。
「おなかが、痛い、、、」
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