J (2.結婚)
9. 切迫流産 (14)
翌朝食事を済ませ私たちは約束どおり帰路につきました。
友美さんは見掛けは普通に見えました。
が、食事の様子を見るには、やはり普通ではないようにも見えました。
私は「どう?、」と聞いてみたいと思いましたが、 また「大丈夫、」という返事しか返って来はしないと思い、 聞かずにしておきました。
何故というに、そう聞くことにより、 帰ろうとしている私たちの理由がなくなることを恐れたからです。
帰りの高速は朝ということもあって順調に流れました。 ところが首都高に入ったあたりから渋滞しはじめ、 やがては動かなくなってしまいました。
ふと見ると友美さんは辛そうな表情です。
「大丈夫?、辛そうなかんじだけど、」 「ちょっと酔ったみたい、なんだか気持ち悪い、」
大丈夫だ、大丈夫だ、と言い張っていた友美さんが、 いやに弱々しく気分の悪さを訴えました。
(これは、そうとうに悪いのだ、、、)
私は困りました。 ここではどうにもしてやれない。
「もう少しだから、ね、我慢して。」
・・
私は渋滞の中、じりじりとして考える。
(やっぱり、昨日、、、医者に行っておけばよかったのかもしれない、、、) (全ては私の判断の甘さなのだろうか、、、) (後悔先立たず、なんてことにならなければいいが、、、)
じきに私はイライラしてくる。
(だけど、大丈夫って言ったのはトモミさんじゃないか、) (オレがあんなに言ったのに、頑固に意地をはっちゃってさ、) (もう、こんなんで何かあったら、オレ、立つ瀬ないよ、)
チクショー。早く走らねぇ〜かなぁ。
「純一さん、ノド乾いた、、、」
「ノド!?、あのね、トモミさん、この状況分かるでしょ。ジュータイ。 オレ、君のためにジリジリしているんだから、少しは考えて物言ってくれよ。」
、、、私は冷たく友美さんに当たってしまった。
「、、ごめんなさい。」辛そうに息を呑み、横をむいた友美さん。
(オレだって、辛いよ。ったく。)そう思ってしまった度量の狭い私。
陰湿なムード漂う車の中、でした。
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