J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年05月15日(木)    私は友美さんの顔を覗き込む。

J (2.結婚)

9. 切迫流産 (9)


私たちは無言でリフト乗り場に向かいました。

私はちょっと言い過ぎたかなとは思いましたが、
言い放ってすぐに取り繕うのも体裁が悪く思い黙々と歩いていたのです。

友美さんは、、、相当辛そうでした。
ですが私に叱られた手前、気力を振り絞って私に付いてきていたのです。


私は優しさが足りなかった、、、そう反省する苦い思い出です。


・・

私たちはリフトに乗って、再び駐車場に戻りました。

私は車のドアを開け、「ほら。」と友美さんを促して車に乗せました。
そしてシートを倒してやり、「少し寝たら?」と声を掛けました。
友美さんは、「ごめんなさい。」とだけ言って目を瞑りました。


私はドアを閉めてタバコに火を点けました。

さて、どうしよう、、、
これじゃぁどこに行くったってなぁ、、、


私は考えながら所在無く付近をうろつきました。

30分。

一時間。

それ位して私は車に戻って、窓の外から友美さんの様子を伺いました。

、、、友美さんは先ほど私がシートを倒した時のまま、目を瞑っていました。



再びまた私は所在無くあたりをうろつく。

どうしよう、、、
このまま寝かしておくよりないか、、、

何本も何本もタバコを吸いながら暇を潰す私、でした。

、、30分。

、、、一時間。

そして昼も過ぎていく。


私は結論を出しました。

もうホテルに向かおう。
早いけれどチェックインして友美さんに休んでもらえばいい。



車に乗り込み無言でエンジンを掛ける私。
友美さんはうっすら目を開ける。

「ん?、トモミさん、そのまま休んでいていいよ、
 もう今日はどこにも行かず、ホテルに行ってゆっくりしようね。」

「、、、xxxxx

友美さんは何かを言うが聞こえない。
その目は何かを訴えている。

「何?、聞こえないよ、」

私は友美さんの顔を覗き込む。
辛そうな、すまなそうな、そして涙ぐんでいるような表情。

「どうしたの?」

私は友美さんの唇に耳を当て声を聞き取ろうとする。



、、、。

そして、、、友美さんはやっと私に本当のことを伝えたのです。

おなかがいたいの。」、、、と。






  < Pre  Index  New >    


INDEX+ +BBS+ +HOME+ 
この物語はフィクションです。

My追加

+他の作品へのリンク+・『方法的懐疑』(雑文) ・『青空へ続く道』(創作詩的文章)